第180章 君を運転手として雇えない

中野航平が大きな食べ物の袋を提げてマンションに着いた頃には、もう9時を回っていた。

腕時計に目を落とした瞬間、上げかけた手がふと止まる。

――こんな時間だ。栞、もう寝てるんじゃないか。

不用意にチャイムを鳴らして、起こしてしまったらどうする。

迷っていると、扉が内側からすっと開いた。

ゴミ袋を提げ、これから下に捨てに行くところだった長谷川栞は、こんな遅い時間に自宅の前で中野航平を見つけて、思わず動きを止めた。

「栞、俺が持つ」

中野航平が先に口を開き、有無を言わせず栞の手からゴミ袋を奪うように受け取った。

長谷川栞は一度だけ取り返そうとして、無理だと悟ると諦めた。

「こんな...

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